生活習慣病について|葛飾区、江戸川区の「鈴木内科・糖尿病クリニック」

生活習慣病について

生活習慣病とは

生活習慣病はまさにその名の通り、生活習慣に起因するので、そこを変えていくのは大変だと思います。塩分や体重過多などからくる高血圧症、肥満。多量のアルコール摂取や水分不足による高尿酸血症(痛風の原因になります)、食事や運動不足からの脂質異常症(悪玉コレステロールの上昇や善玉コレステロールの低下・中性脂肪の上昇などです)、肝硬変にまで至る脂肪肝、そして2型糖尿病。いずれも生活習慣に起因することが多く、特に症状がない場合がほとんどです。しかし、心筋梗塞や脳梗塞・肝硬変・脳出血といった重大な病気の原因になります。現在は高血圧や脂質異常症は良いお薬があるので、薬を飲むとある程度のコントロールはできます。しかし、ご自身の生活に合わせ、少しづつでも生活習慣を変え、お薬なしでも良い結果がでるようにお手伝いできればと思います。

主な生活習慣病

高血圧

高血圧という言葉は皆さん聞いたことがあると思います。日本では現在約4,300万人が罹患(高血圧症にかかっている)といわれているので、ご家族にほぼいると思われるからです。これだけ多い高血圧ですが、どういったものなのか。病気としての高血圧は、その名の通りですが、血管内の圧力が高い状態ということになります。心臓から送り出された血液によって、血管の壁を押す力が、もっとも強い時が収縮期血圧(上の血圧)、血液が心臓に戻るときが、拡張期血圧(下の血圧)になります。血管内の圧力ですから、高くなれば血管の壁にはダメージが蓄積することになります。この蓄積により、柔軟性がなくなり、硬くなる。つまり動脈硬化ということになります。動脈硬化性疾患(心筋梗塞や狭心症、脳梗塞など)の原因の1番が高血圧であるゆえんです。

高血圧といわれる具体的な数値

高血圧といわれる具体的な数値は、診察室、病院で測定した時に140/90mmHg以上、家庭で測定(測定法があります)した場合では135/85mmHg以上が高血圧といわれます。2019年にも新しいガイドラインがでましたが、この基準に変わりありません。もちろん、糖尿病と同じで慢性的に続く場合です。
ちなみに糖尿病がある方は、動脈硬化性疾患のリスクが高くなるので、診察室血圧130/80mmHg、家庭血圧125/75mmHgが目標です。

本態性高血圧症と二次性高血圧症

高血圧は、本態性高血圧症と二次性高血圧症に分かれます。本態性が90%をしめます。本態性というのは、はっきりと原因がわからない時ということです。遺伝要素が60%、環境の要因が40%を占めます。環境要因というのは、肥満、喫煙、塩分過剰摂取、アルコールや運動不足です。高血圧の遺伝素因がある方でも、環境要因を注意すれば血圧は上昇しにくいということになります。ここが、生活習慣病といわれるゆえんです。他の生活習慣病と同じで、改善することはなかなか難しいことです。

二次性高血圧というのは原因となる他の病気があります。腎血管性高血圧、腎実質性高血圧、内分泌性高血圧(褐色細胞腫、クッシング病や甲状腺疾患など)、睡眠時無呼吸症候群、薬剤性高血圧、遺伝性高血圧などです。30歳以下で発症した場合や50歳以上でも急激に血圧が上がってきた方、お薬を服用しても血圧が下がらない方などは二次性高血圧を疑い検査をします。

高血圧の治療

高血圧の治療は、環境要因で是正できるところはまず是正します。塩分を控えめにというのをよく聞きますよね。ダイエットもとても効果があります。それでも高い方はお薬を考えます。お薬を始めた後でも、生活習慣の是正によって、お薬がいらなくなることもあります。

高血圧も他の生活習慣病と同じでほとんど症状がなく血管を痛めていきます。実際30代、40代で高血圧の方も多いのですが、何も症状がないので特に治療しないで放置している場合がよくみられます。しかし、放置していると動脈硬化性疾患を発症しやすくしてしまうのです。
脳卒中(脳梗塞や脳出血)は高血圧が1番の原因です。収縮期血圧が10mmHg上がると、脳卒中のリスクは男性で20%、女性で15%上がるといわれています。心筋梗塞や狭心症もそうですが、脳卒中も最近は命は助かる病気になってきています。しかし、一度発症した後、後遺症なく過ごせれば良いのですが、後遺症が残り前と同じような暮らしはできない場合も多いです。予防できるに越したことはないと思います。

脂質異常症・脂肪肝

以前は高脂血症といわれていました。血液中のコレステロールや中性脂肪が高いという意味です。しかし、コレステロールの中にも、善玉と悪玉があり、善玉は少ない方が問題なので、高脂血症から脂質異常症という名称に変わりました。悪玉コレステロールが多い状態は高血圧と同じように動脈硬化をすすめてしまいます。
また、糖尿病ででてくるインスリンがうまく働いていないと血中の中性脂肪が増加します。中性脂肪が高いと心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患はもちろんですが、急性膵炎(すい臓の炎症です)や脂肪肝になることがあります。

二次性におこる脂質異常症

脂質異常症も二次性におこることがあります。お薬では、ステロイドホルモン製剤やβ遮断薬といわれる高血圧や不整脈で使われるお薬や経口避妊薬などです。また他の病気(甲状腺の病気など)から脂質異常をきたす場合もありますが、高血圧と同じように原発性がほとんどです。

脂質異常症の基準

脂質異常症も2018年にガイドラインが更新されたばかりですが、基準としては、LDL(悪玉)コレステロール140mg/dl以上、HDL(善玉)コレステロール 40mg/dl未満、TG(中性脂肪) 150mg/dl以上が脂質異常症の基準です。中性脂肪は食事の影響をすぐにうけるので、空腹時での採血が必要になります。最近はLH比(LDLコレステロールとHDLコレステロールの比率)やnon-HDLコレステロールなどの指標も用いられますが、前述したものが、脂質異常症の基準ではあります。当院では、採血して10分ほどで結果をお知らせできます。

脂質異常症の食事療法

脂質異常症の食事療法は、まずコレステロールや飽和脂肪酸を多く含む動物性の脂質、乳製品、卵黄、お菓子、加工食品の摂取を減らすことです。肉ならばサーロインよりもヒレということになります。さんまやいわし、さば、まぐろ、あじなどの青魚の脂(不飽和脂肪酸といわれます)はLDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあるので、多く摂っていただきたいです。EPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などが含まれており、お薬としてもでているほど効果があります。

また、植物性のタンパク質にもコレステロールや中性脂肪を下げる働きがあります。植物性のタンパク質というと、納豆や豆腐といった大豆製品です。ぜひ多く摂っていただきたいです。

また、運動療法も推奨されています。動脈硬化性疾患の予防として、ウォーキング、速歩、水泳など中強度以上の有酸素運動をメインにして、週に3回以上定期的に、可能なら毎日、合計30分以上行うのが有効とされています。
食事・運動療法でも効果が乏しい場合、薬物療法を選択します。悪玉コレステロールをメインに低下させるお薬と中性脂肪をメインに低下させるお薬とに分かれています。

脂肪肝

脂肪肝は以前は人間ドックなどで指摘されても放置していることが多い病態でした。肝臓に脂がたまっているだけと。しかし、最近は脂肪の貯蓄が脂肪肝炎となり、脂肪肝硬変に至ることがわかってきました。肝硬変というのはそれだけでも重篤な病気なのですが、肝臓がんの下地になるという意味で重要な状態です。B型肝炎やC型肝炎というウイルス性肝炎が長らく肝硬変の原因の多くでしたが、両肝炎は治療薬の発達により改善が見込める病気になってきており、脂肪肝の有病率から考えても今後は肝硬変の予防というと脂肪肝を早めに良くすることが重要になってくるのではと思っています。

高尿酸血症・痛風

痛風という疾患は風があたっただけで痛いというほどの激痛が関節におこる病気です。高尿酸血症のため(一部それほど尿酸値が高くない場合もありますが)に形成された結晶が関節内に沈着し発症します。痛風の発作時は痛み止めなどで対応し、数日でおさまってくることが多いです。そのため原因となっている高尿酸血症が放置されているケースがあります。高尿酸血症を治療しておかなければ痛風が再発するどころか、心筋梗塞や脳梗塞の危険因子になっているかもしれません。高尿酸血症が心筋梗塞や脳梗塞の直接のリスクなのかどうかはまだ不明ですが、高尿酸血症がある方は糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満といった他の心血管疾患のリスクファクターを多く抱えている場合が多いのです。
血清尿酸値で7.0mg/dlを超えると高尿酸血症です。こちらも当院で10分以内に測定できます。
高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインも2019年に改訂されました。このガイドラインに沿った治療を心がけています。

痛風の治療

治療として、まずは減量が第一です。減量は、他の疾患(糖尿病・高血圧・脂質異常など)にも良いので頑張っていただきたいです。食事は尿酸のもととなるプリン体の摂取を減らすことが大事なので、院内でもパンフレットをお渡しするようにしています。しかし、プリン体を多く摂取してしまうことを気にしていて、尿酸を体外に出すことがおろそかになっている場合があります。よく水分を摂り、尿に出してしまうということです。こちらの方が重要ではないかと思っています。

骨粗鬆症

骨粗しょう症は直接は生活習慣病ではないのかもしれません。しかし、過剰なダイエット、運動不足、喫煙、過度のアルコール摂取が誘因となる点で生活習慣も無関係ではありません。また、閉経後女性に多い病気であり、当院では生活習慣病の一種ととらえて、治療したいと思っています。

糖尿病

糖尿病については、糖尿病のページをご覧ください。